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フラ男とメガ男(flavum_planeta)

   

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第1話

山形から出てきて、2年目。
東京でサラリーマンとして働きだした村上湊は、ぐったりした顔で電車に揺られていた。
2年目を迎え、新卒社員が会社にはいってきた。去年の今頃は、自分もその位置にいた。
そのうちに、営業部にも新卒社員が配属されてくるのだろう。
やる気はある、まだまだある。気持ちは新卒社員に負けていないと思ってる。
だけど、感情と行動が伴わないのだ。
もやもやとした思考をぐるぐるさせているうちに、最寄駅に着いた。

改札を抜け、階段をのぼり、地上に出る。
いつもと同じ道をほぼ無意識に歩きながら、湊は今日はなにを食べようかとぼんやりと考える。
いい加減、コンビニ弁当もスーパーの惣菜も、チェーンの牛丼も飽きてきた。
上京してたったの2年で、近所で提供されるラインナップに飽きてしまうのは、いささか問題だが致し方ない。
どうしたって限られた行動圏内で食事を済まそうとすると、限られてしまうのだ。

「ん?」

いつも通っている道に、見慣れぬ看板が出ている。
『Bar スプートニク』と、あるが食事のメニューが大きく看板には描かれている。

「オムライス……」

湊は好物の表記に思わず足を止めた。
ふわふわ半熟卵のオムライスでも、しっかり焼かれた昔なつかしオムライスでも
オムライスなら構わず好きなのだ。最後に食べたのは、たぶん、3か月前。
客先に向かう途中のファミレスで食べた、きのこクリームオムライス。
看板に描かれているのは、赤いケチャップがかかっているベーシックなオムライス。

気づけば足は店の方へ向いていた。
初めての店は多少の緊張を伴うが、一回はいってしまえばどうにかなる。
気に入らなければそれきりだし、うまくいけば夕飯にオムライスが食べれる店が増えるのだ。
店はガラス張りで、中をうかがうことができた。
先客はいるようだが、入りにくい雰囲気でもない。
ほんの少しだけ緊張しながら、湊はガラス戸を押し開けた。

「いらっしゃい。おひとりさん?」
「あ、はい」
「好きなところ座って」

店の店主は、人のよさそうな笑みを浮かべる男性だ。
暗い色のシャツを着ていて、バーのマスターというよりカフェのマスターといった感じだ。

常連ぽい客はカウンター席に座って、お酒を飲んでいる。
湊は、少し手前のテーブル席に腰かけた。

「あの……、オムライスを」
「飲み物は?」
「あ、じゃあ……ジントニックで」

なんだか女子っぽい注文だな、と湊はぼんやり思った。
すこし落ち着いて店内を見回す。
店主の趣味なのだろうか。
アジアンとアンティークがごちゃまぜになったようなレイアウトだ。

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プロフィール

HN:
文弥
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性別:
非公開

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